Windows 11や10のネットワークプロファイルとは、PCが接続しているネットワーク環境に応じて、適切なセキュリティ設定(主にファイアウォールとネットワーク共有の設定)を自動的に適用するための機能です。
この設定を間違えると、PCのネットワーク セキュリティが甘くなって危険にさらされたり、逆に家のプリンターが使えなくなることもあります。
本稿では、Windows 11のネットワークプロファイルの概要と、設定手順について解説いたします。解説に使用したOSは「Windows 11 Pro 25H2」です。
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1 ネットワークプロファイルの概要
ネットワークプロファイルを簡単に言うと、「現在接続しているつないでいるWi-Fiやイーサネット(有線LAN)の先が、安全な場所かそうでないか」をWindowsに教えるための仕組みです。
「接続しているネットワークを、どのくらい信頼してよいかを Windows に伝えるための設定」と言いかえてもよいでしょう。
「ネットワーク」とはインターネットにつなぐための「道」ですが、安全な道もあれば、危険な道もあります。
例えばインターネットを利用すると仮定して、自宅の Wi-Fiや有線LAN接続の安全度は高く、職場のネットワークは中程度、カフェの無料Wi-Fiの安全度は低くなります。
これらの情報を Windows に伝えておくことで、自動的にファイアウォールの強さや共有設定を調整してくれます。
ネットワーク接続においては、ネットワークプロファイルを任意に設定することができます。それが「パブリックネットワーク 」であり、「プライベートネットワーク」の2種類です。
ネットワーク接続時にどちらかを選択することで、PCのネットワーク上での公開レベルが決まります。
それぞれの特徴を以下に示します。
- パブリックネットワーク
パブリックネットワークは自身のPCの共有を許可しない場合に適用すべきプロファイルです。
本プロファイルを適用することでセキュリティが強化され、他のデバイスからあなたのPCが見えなくなります。ファイル共有やネットワーク検出も無効になるため安全性が高まります。
カフェや空港、ホテルなど、不特定多数が使う公共ネットワークの設定を想定しています。 - プライベートネットワーク
プライベートネットワークは、共有フォルダーを公開したいなど、他のPCからアクセスを受けるサーバー的な役割を持つPCに対して適用すべきプロファイルです。
具体的には、自宅や職場など、信頼できるネットワーク用の設定です。このプロファイルでは、同じネットワーク上の他のデバイスからあなたのPCが見えるようになります。
家庭内でプリンターを共有したり、ファイルを他のPCと共有したりする場合を想定しています。
2 ネットワークプロファイルの設定手順
間違った設定をすると、例えば自宅のネットワークをパブリックに設定してしまうと、プリンターが使えなくなったりします。
逆にカフェのWi-Fiをプライベートに設定してしまうと、他人からあなたのパソコンが見えてしまう危険性があります。
2-1 ネットワークプロファイルの設定状況を確認する手順
まずは現在接続しているネットワークがどちらの設定になっているかどうかを確認しましょう。
ネットワークの種類は、デフォルトで「パブリックネットワーク」が選択されています。
- タスクバーの「スタート」ボタンを右クリックして、クイックリンクメニューの「設定」をクリックします。
- 設定画面が表示されます。
左ペインにある「ネットワークとインターネット」をクリックします。 - 右ペイン上部に現在接続しているネットワークアダプターが表示されます。
ネットワーク環境により、イーサネット(有線LAN)または「Wi-Fi」というネットワーク名が表示されたり、この画面のようにイーサネットとWi-Fi両方が表示されることもあります。
ネットワーク名のプロパティ表示を確認します。ここでは、両方とも「パブリックネットワーク」と表示されています。
この設定ではネットワークは検出されず、他のPCとファイルなどの共有もできませんが、公共のWi-Fiなど、信頼できないネットワークに接続する際にセキュリティを高めることができます。
「プライベートネットワーク」と表示されている場合は、同じネットワーク内の他のPCとファイルやプリンターを共有することができる設定です。 - ネットワークプロファイルの種類を確認する手順は以上です。
2-2 ネットワークプロファイルを変更する手順
デバイスの使用環境に適応させるために、ネットワークプロファイルを切り替える手順を以下に示します。
- 前述の「見出し2-1 ネットワークプロファイルの設定状況を確認する手順」の手順③まで操作を進めて、右ペイン上部に表示されたネットワークアダプターの「プロパティ」をクリックします。
一例として「Wi-Fi」のプロパティをクリックしました。 - 「Wi-Fi」のプロパティ画面が表示されます。
画面を少しスクロールアップします。
ネットワークプロファイルの種類欄で「パブリックネットワーク」または「プライベートネットワーク」のどちらかを選択します。
一例としてデフォルト設定の「パブリックネットワーク」から「プライベートネットワーク」に変更しました。 - プロパティを確認すると「プライベートネットワーク」に変更されていることがわかります。
- 以上でネットワークプロファイルを変更する操作は完了です。
2-3 ネットワーク内のPCにアクセスできない場合の対処法
ファイルエクスプローラーを開き、同じネットワーク内にある他のPCやNASを開こうとすると、以下のメッセージが表示されてアクセスできないことがあります。
[ ネットワーク探索とファイル共有が無効になっています。ネットワーク コンピューターとデバイスは表示されません。変更するにはクリックしてください… ]
このメッセージは、ネットワークプロファイルが「パブリックネットワーク」に設定され、かつネットワーク探索が無効化されている場合に表示されます。
このメッセージが表示された場合の対処法を以下に示します。
- メッセージと、表示されたメニューの「ネットワーク探索とファイル共有の有効化」を順番にクリックします。
- 以下のダイアログが表示されます。
「いいえ、接続しているネットワークをプライベート ネットワークにします」をクリックします。 - これでネットワーク内の他のPCにアクセスできます。その仕組みは以下の手順④と⑤に示すとおりです。
- ネットワークプロファイルの種類は、自動で「パブリックネットワーク」から「プライベートネットワーク」に変更されます。
Windows 11の設定から「ネットワークとインターネット」、ネットワークプロファイル「のプロパティ」と操作を進めて確認してみましょう。 - 「ネットワークとインターネット」 ⇒ 「ネットワークの詳細設定」 ⇒ 「共有の詳細設定」と操作を進めると、「ネットワーク探索」および「ファイルとプリンターの共有」が有効化されていることも確認できます。
- 以上で操作完了です。
以上で「Windows 11のセキュリティ設定:ネットワークプロファイルを切り替える方法」に関する解説を終わります。
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