キャリア3社が「ahamo」、「povo」、「LINEMO」といった格安新プランで攻勢をかけて勢いを盛り返し、対抗する格安SIM各社も月額料金を値下げしたり、新たに参入する事業者も出てきたりと、大きな変革期を迎えております。
スマホなどの通信事業者やスマホ端末選びは意外と奥が深く、参入事業者も多いため選ぶのに一苦労することもしばしばあります。
本記事では、スマホの通信事業者と新たに契約したいが、選び方がよくわからない人を対象に、格安SIM事業者(MVNO)の賢い選び方について、分かりやすく解説いたします。
記事の内容は、MVNO( Mobile Virtual Network Operator)を対象としており、MNO(Mobile Network Operator)については解説していません。あらかじめご了承をお願いいたします。
◎ MNO :移動体通信事業者
なお、MNOとMVNOに関する記事については、以下のリンクも合わせてご覧ください。
2022年9月12日 更新 最新のプラン名、プラン料金および通話オプションを修正 2021年春に登場した大手3大キャリアの格安新プランを契機に、スマホの月額料金は大きく変わりつつあります。キャリアの新プランにより格安SIMも対抗策と[…]
1 MVNOの特徴
「MVNO(仮想移動体通信事業者)」は、自前の無線局などの通信設備は持たず、docomo、au、ソフトバンクといった大手キャリアから通信設備を借りてサービスを提供しています。
たとえばOCN、BIGLOBE、IIJmio、mineoなどの事業者がこれに該当します。
自前の通信設備を持っている事業者のことは、「MNO(移動体通信事業者)」と呼んでおり、大手キャリアのNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクと新たにMNOに移行した楽天モバイルのことを指しています。
通信料金の安さ
自前の通信設備を持たなければ、通信設備の設置や保守管理といったコストもかからないため、その分サービスを安価に提供できます。
MVNO事業者の多くは実店舗を持たないので店舗に関わるコストがかからず、契約はオンラインが基本となっています。
大手キャリアと比較すると、データ容量が少ないプランを設定しています。できるだけ安くスマホを持ちたい人にとっては有り難いのですが、使い方次第では通信料金が安くならないこともあります。
通信速度が遅くなることもある
通信料金が安い分デメリットもあります。借り物の通信設備ということで、MVNOにより通信速度に差異がみられます。
スマホを利用する時間帯や場所などにより通信速度が低下することがあります。特に、朝、夕の通勤・通学の時間やお昼休みなどの混雑する時間帯は、極端に通信速度が低下することもあります。
店舗数が少ない
店舗を持つMVNOも増えつつありますが、大手キャリアとは比較になりません。
店舗が少ないということは、困ったときのサポートにも限度があるということで、スマホ初心者、パソコンを使っていない人、あるいは高齢者にとって負担になることもあります。
キャリアメールは使えない
基本的にキャリアメール(~@docomo.ne.jp、~@ezweb.ne.jp、~@softbank.ne.jp)は使えなくなります。
大手キャリアからMVNOに乗り換える場合、そのままキャリアメールを使える有料サービス(月額330円程度)も用意されています。
購入できるスマホ端末が限られる
SIMカードとスマホ端末をセットで購入したくても、機種が限定されることもあります。ただし、スマホ端末単体でも購入は可能です。
クレジットカード払いが基本
月々の支払いや端末購入料金などは、一部を除きクレジットカード決済が基本となっています。
クレジットカード決済を回避したい場合は、口座振替が可能なMVNOを選ばなければなりません。
2 格安SIMの選び方
本章では、格安SIMを選ぶ際の留意すべき4項目について解説いたします。
その上で、自分のスマホの利用方法などを考慮し、選ぶべき格安SIMを総合的に判断しましょう。
2-1 使用するスマホ端末から選ぶ
使用するスマホの選択肢は、以下の「現用のスマホはそのままでSIMだけ交換して使う」と「スマホとSIMをセットで購入する」の2通りあります。
現用のスマホはそのままでSIMだけ交換して使う
手持ちのスマホをそのまま使用して事業者を乗り換える場合は、スマホが対応している周波数帯(通信バンド)に注意が必要です。
スマホ端末は機種により対応する通信バンドが異なり、SIMフリー端末やSIMロック解除済み端末でも、すべての通信バンドに適合しない場合もあります。
だた、通信バンド数は4Gの場合は11バンド(800MHz帯は18と26)、5Gは4バンドあり、たとえ一部の通信バンドが対応していなくても、他の通信バンドでカバーできることもあります。
いずれにしても、現用のスマホをそのまま使いSIMだけを交換する場合は、スマホの適合通信バンドや、動作確認端末一覧などを、各事業者の公式サイトで確認しておきましょう。
♦ SIMカードのサイズ
端末が使用できるSIMはカード型が3種類、使い勝手がよくなる本体内蔵の「eSIM」があります。
カードサイズは大きい方から、「標準SIM」、「マイクロSIM」、「ナノSIM」があり、現状では「ナノSIM」が大半ですが確認だけはしておきましょう。
大手キャリアの対応通信バンド(周波数帯)
ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルで対応している通信バンド(周波数帯)一覧は以下のとおりです。
4G、LTE
事業者 周波数帯 | NTTドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
700MHz帯 バンド28 | ◯ | ◯ | ◯ | |
800MHz帯 バンド18/26 | ◯ | |||
800MHz帯 バンド19/26 | ◯ | |||
900MHz帯 バンド8 | ◯ | |||
1.5GHz帯 バンド11 | ◯ | ◯ | ||
1.5GHz帯 バンド21 | ◯ | |||
1.7GHz帯 バンド3 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2.0GHz帯 バンド1 | ◯ | ◯ | ◯ | |
3.5GHz帯 バンド42 | ◯ | ◯ | ◯ |
5G
事業者 周波数帯 | NTTドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
3.7GHz帯 n77 | ◯ | ◯ | ◯ | |
3.7GH帯 n78 | ◯ | ◯ | ||
4.5GHz帯 n79 | ◯ | |||
28GHz帯 n257 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
スマホとSIMをセットで購入する
MVNOとの契約時にスマホとセットで購入する場合は、すべて適合しているので何も心配はありません。
2-2 通信プランから選ぶ
格安SIMでは「音声通話SIM」、「データ通信SIM」、「SMS付きデータ通信SIM」の3種類があり、スマホの利用方法に合わせて、いずれかを選択することになります。
電話番号を宛先に、短文のメッセージをやりとりするサービスで、電話番号さえわかれば、機種変更してもメールアドレスが変わった場合でもメッセージを送受信できます。
同じキャリア同士だけでなく他社端末ともやりとりが可能で、アプリのインストールも必要ありません。
音声通話SIMとは
音声通話SIMは、音声通話(電話)、データ通信及びSMS(Short Message Service)が利用できます。
勿論、モバイル用データ通信回線を使ってインターネットに接続することもできます。
後述の通信プランと比較すると基本料金がやや高めとなります。
データ通信SIMとは
音声通話は利用できずデータ通信のみに対応するSIMですが、メールやインターネット、アプリなどは利用できます。
たとえば、音声通話をメインのスマホで持ち、インターネット接続はデータ通信SIMで行うなどの、スマホを2台持ちするとき便利です。
SMS付きデータSIMとは
上述のデータ通信SIMに加えて、SMS機能も使えるSIMで、電話番号は付与されますが音声通話はできません。
しかし、付与された電話番号を活用することで、LINEやFacebookなどのSNSや、アプリのアカウント取得や認証の際に利用することもできます。
2-3 データ容量から選ぶ
毎月使うデータ容量は人それぞれで、私のようにWi-Fi利用がメインのため1GB未満であったり、無制限に使う人など、使い方や環境により大きな相違があります。
2-4 5Gを基準に選ぶ
5Gとは、2020年3月にサービスが開始された、第5世代にあたる移動通信システムの規格のことをいいます。4Gと比較して最大で100倍近くの高速通信が可能といわれています。
この高速通信を利用して、複数デバイスの同時接続数が大幅に増加したり、4Kや8kの映像を楽しめたり、快適な環境下でゲームができたりと様々なシーンで活用できます。
MVNO事業者や格安スマホでも5G対応端末が増えてきました。しかし、サービス提供地域は大都会優先で、対応エリアはまだ一部の地域に限られています。
5Gに対応していないエリアにお住まいの人は、選択優先度は低くなるかと思います。
5Gを利用するためには対応する機種の購入とプランへの加入が必要になります。無料プランもありますが、有料オプションであったりと事業者によりまちまちです。
3 主要格安SIM事業者
2023年1月16日現在の主要な格安SIM事業者は以下のように25社にも及びます。(キャリアのサブブランドを含める)
この中から自分に合った事業者を選ぶことは並大抵のことではありません。上述している記事を参考に
賢く格安SIMをチョイスしてください。
格安SIM事業者に関する内容は以下の関連記事でも解説しています。どうぞご参照ください。
2022年9月12日 更新 最新のプラン名、プラン料金および通話オプションを修正 2021年春に登場した大手3大キャリアの格安新プランを契機に、スマホの月額料金は大きく変わりつつあります。キャリアの新プランにより格安SIMも対抗策と[…]
主要な格安SIM事業者一覧
詳しい情報は以下のリンク先から調べることができます。
ahamo(NTTドコモ株式会社)
povo2.0(KDDI株式会社)
LINEMO(ソフトバンク株式会社)
IIJmio(株式会社インターネットイニシアティブ)
イオンモバイル(イオンリテール株式会社)
HISモバイル(HIS Mobile株式会社)
エキサイトモバイル(エキサイト株式会社)
OCN モバイル ONE(エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社)
QTmobile(株式会社QTnet)
J:COM(株式会社ジュピターテレコム)
DTI(株式会社ドリーム・トレイン・インターネット)
どこでもフィットSIM(株式会社フォーバルテレコム)
donedone(ビッグローブ株式会社)
NifMo(ニフティ株式会社)
日本通信SIM(日本通信株式会社)
NUROモバイル(ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)
BIGLOBEモバイル(ビッグローブ株式会社)
BIC SIM(株式会社ビックカメラ)
b-mobile(日本通信株式会社)
mineo(株式会社オプテージ)
UQ mobile(KDDI株式会社)
LINEモバイル(LINE株とソフトバンク株の合弁)
ロケットモバイル(株式会社IOTコンサルティング)
ワイモバイル:Y!mobile(ソフトバンク株式会社)
y.u mobile(Y.U-mobile株式会社)
以上で「スマホの格安SIM(MVNO)とは何? その賢い選び方」に関する解説を終わります。