数日前、Windows 11のウィジェットを開いて、ニュースを見ていたら「USB Type-C」に関して、こんな記事が報じられていました。
欧州連合(EU)は、2024年秋までにEU域内で販売されるすべてのスマートフォンの充電ポートに「USB Type-C」を義務付けることで合意した。 iPhoneにライトニングポートを採用しているアップルは、以前からこの法案に反対を表明している。 EUによると、消費者はこの法律によって充電器の購入費用、年間で最大2億5000万ユーロを節約することができるという。
アップル(Apple)ファンの多くは、iPhoneの充電ポートがライトニング(Lightning)からUSB-TypeCに切り替わることを何年も前から望んできた。欧州連合(EU)の新しい法律によって、今後2年間でそれが実現しそうだ。
引用元:news.yahoo.co.jp/
この記事を読んで、パソコンやスマホなどの外部インターフェース端子としてのUSBに俄然興味が湧いてきました。
スマホの充電やパソコンと周辺機器などの接続で、当たり前のように使っているUSBですが、その形状にも「Type-A・B・C」など様々あり、イマイチよく理解できていないのが現状ではないでしょうか。
そこで今回はUSBの規格や種類、主流となりつつある「USB Type-C」にスポットを当て、その特徴などについて解説致します。
USBとは?
USBコネクタのUSBとは、Universal Serial Bus(ユニバーサル シリアル バス)を略したものです。
パソコン、スマホやタブレットの接続だけでなく、ゲーム機や外付けストレージなどの周辺機器の接続で、最も普及しているインターフェース規格のひとつです。
周辺機器などに接続する端子はUSBコネクターといい、このUSBコネクターが挿さる部分はポートと呼んでいます。
USBの特徴
- 周辺機器とのデータ転送ができます。
- 接続した周辺機器を動かすための電源供給をパソコンから行えます。
- 必要とする電力が少ない外付けHDDやSSD、マウスなどは、パソコンとUSBケーブルを接続するだけで、駆動するバスパワーを使用できます。
- 「ホットプラグ」機能を備えています。
ホットプラグ(hot plug)とは、電源が入った状態でもケーブルを抜き差しできる機能です。(データなどにアクセスしている場合は抜き差ししないでください。) - プラグ・アンド・プレイ(Plug and Play)に対応しています。
プラグ・アンド・プレイ(Plug and Play)とは「差し込んで使う」という意味で、具体的にはパソコンに周辺機器や拡張カードを接続すると、それらをOSが自動的に検出して、ドライバーのインストールや必要な設定を行う仕組みのことをいいます。 - USBハブを使えば複数機器と接続できます。
USBの規格と転送速度
USBには「USB3.0」や「USB3.1 Gen2]など様々な規格がありますが、規格により転送速度が大幅に異なったり、用途も違ったりします。
このUSB規格がちょっと曲者で注意する必要があります。過去に規格名の変更を繰り返しており、特にType-Cについては私自身も分からなくなることもしばしばあります。
また、接続する機器と接続される側にそれぞれUSB規格があり、規格が一致しない場合は低い方の規格に速度を合わせてデータ転送が可能です。
USBの規格一覧は以下のとおり 2022年7月1日現在
ご覧のように規格の末尾番号が大きくなるに従いデータの転送速度は速くなります。
Genは「Generation 世代」の略で、たとえば「USB3.2 Gen1×1」の表示は、「USB3.2の第一世代で1レーンだけ通信に使う。」という意味になります。
USB4はThunderbolt3をベースとして2019年にリリースされた最新のUSB規格で、対応するケーブルなども高価でなかなか手を出せないのが実情です。
ここでは、USBではないもののUSB Type-Cと密接な関係にある「Thunderbolt:サンダーボルト」についても記述しています。
なお、「Thunderbolt3・4」の端子形状はUSB Type-Cと同一ですが、別規格でありデータ通信の信号も異なっています。
規格名(旧名) | 最大転送速度 | 対応端子 |
USB2.0 | 480Mbps | Type-A Type-B Type-C |
USB3.2 Gen1×1 (USB3.0 USB3.1 Gen1) | 5Gbps | 同上 |
USB3.2 Gen1×2 | 10Gbps | 同上 |
USB3.2 Gen2×1 (USB3.1 Gen2) | 10Gbps | 同上 |
USB3.2 Gen2×2 | 20Gbps | Type-C |
USB4 Gen2×2 | 20Gbps | Type-C |
USB4 Gen3×2 | 40Gbps | Type-C |
Thunderbolt | 10Gbps | |
Thunderbolt 2 | 20Gbps | |
Thunderbolt 3 | 40Gbps | |
Thunderbolt 4 | 40Gbps |
USBの形状
現在流通している主なUSBの形状は以下のとおりです。
USB Type-A(USB 2.0/USB 3.0)
USB Type-Aはパソコンに接続できる最も標準的なUSBです。
USB3.0以前のコネクターは内部の一部が白か黒で、USB3.0以降は内部の一部が青くなっています。
USB Type-B(USB 2.0)
プリンターやスキャナーなどの周辺機器で多く使われています。
USB Type-C
上下の区別がなくどちらからでも挿せるので扱いやすいコネクターです。
「Thunderbolt3・4」も同じ形状ですが、端子付近に「稲妻マーク」に数字の3や4が表示されていればUSB Type-Cではなく「Thunderbolt3・4」と判断できます。
Mini-USB Type-B
デジタルカメラとの接続で多く使用されていました。最近はあまり見かけなくなりました。
Micro USB2.0 Type-B
Mini-USB Type-Bを小型化したもので、耐久性も高くAndroidスマホやタブレットでおなじみですね。
Micro USB3.0 Type-B
ポータブルハードディスクやテレビ録画用外付けストレージなどで使用しますが、こちらも最近はあまり見かけなくなりました。
以上USBコネクターの種類について簡単に説明いたしました。次は「USB Type-C」について解説致します。
「USB Type-C」の特徴
USB Type-Cの主な特徴は以下のとおりです。
- 最大40Gbpsの高速伝送が可能
- コネクター部分に上下の区別がない
- USB Power Delivery(USB PD パワーデリバリー)に対応している(後述)
- オルタネートモードに対応している(後述)
「最大40Gbpsの高速伝送が可能」となっていますが、Type-C端子ならば無条件に転送速度が速いわけではありません。
たとえば標準的なType-AのUSB3.2 Gen2は、最大転送速度10Gbpsであり、Type-CのUSB2.0は最大転送速度480Mbpsで、Type-Aに軍配が上がります。
遅いType-Cは充電用に使うとか、用途により使い分けるのが効率的です。
USB Power Deliveryとは
USB Power Delivery(PD)に対応したType-Cコネクターは最大100Wの大電力を流せます。
PDを搭載したパソコンは、PD対応のモバイルバッテリーから充電が可能になります。
ノートパソコンやディスプレイなどの大電力を必要とする機器へも電力供給ができるようになります。
ホスト側とデバイス側双方向の電力供給が可能です。
PD対応充電器に接続すると急速充電が可能です。
とても便利な機能ですが、Type-Cケーブル、パソコンや周辺機器などが対応している必要があります。
オルタネートモード(Alt Mode)とは
オルタネートモードはUSB Type-Cの拡張機能で、たとえばType-Cのケーブル1本でディスプレイポートやHDMIの信号を流すことができ、映像および音声をモニターなどに出力できます。
ただし、Type-Cコネクターすべてが対応している訳ではありません。最も確実な対応製品確認は、メーカーの仕様を見ることに尽きます。
また以下のようなロゴマークが、コネクター部分やパソコンなどのポート部分に表示されていれば、対応製品と確認できます。
「USB Type-C」の規格の見分け方
USB Type-Cの端子形状はすべての規格で同じデザインになっています。そのため見た目だけでは規格を見分けられません。
規格の見分け方は、メーカーサイトの仕様書で確認するのが最も確実です。
Type-Cのコネクター部分やパソコンなどのポート付近のマークでも絞り込みができます。
ただすべての製品がこのような表示がされているとは限らないのでご注意ください。
マークが全く無い場合
USB2.0の可能性が高い。
マークが「SS」の場合
USB3.2 Gen1と判断できる。
マークが「3.1」の場合
USB3.2 Gen2と判断できる。
マークが「20や40」の場合
USB4 20GbpsかUSB4 40Gbpsと判断できる。
マークが「稲妻」の場合
「Thunderbolt3・4」と判断できる。
マークが「D」の場合
オルタネートモード対応のType-Cと判断できる。
以上で「USBの規格や注目の「USB Type-C」についてもっと知ろう」に関する解説を終わります。