『戦争 映画』 1930年から2020年代の極上な洋画作品

本記事では、1930年代から2020年代に公開された洋画の「戦争映画」についてご紹介いたします。

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　西部戦線異状なし　　【1930年】

西部戦線というのは、第一次世界大戦時の、ベルギーからフランスにかけての最前線で、ドイツ軍と英仏を中心とする連合軍が血みどろの戦いを行った場所です。

本作品はエーリッヒ・マリア・レマルクの同名小説が原作で、第一次世界大戦を経験したドイツ兵の視点を通して戦争のリアリティと悲惨さを描き出しています。

若いドイツ兵たちが愛国心に燃えて戦場に赴くものの、彼らが直面したのは死と破壊、そして心理的な苦痛でした。

彼らの理想と現実のギャップが、戦争の無意味さと悲劇を強調しています。この映画は、戦争の残酷さを赤裸々に描いたことで知られ、アカデミー賞を含む数々の賞を受賞しました。

なお、第一次世界大戦は1914年勃発1918年休戦。

　アラビアのロレンス　　【1962年】　　

第一次世界大戦中、アラブ民族の独立のために戦ったトーマス・エドワード・ロレンスの生涯を描いた作品です。デヴィッド・リーンが監督を務め、ピーター・オトゥールがロレンス役を演じました。

本作品は美しい砂漠の風景や、ロレンスの激しい戦闘シーン、そしてロレンスの複雑な心理描写などが高く評価され、第35回アカデミー賞で作品賞、監督賞など7部門を受賞しました。

　地獄の黙示録　　【1979年】

本作品はベトナム戦争を背景にしており、マーティン シーン演ずる主人公の将校が、軍の密命を受けて精神を病んだ米軍高級将校を暗殺するため、危険なジャングルを進むというストーリーです。

心理的な苦悩、戦争の狂気、人間の本質を探る深いテーマ性で知られています。ビジュアル、音楽、演技などが高く評価され、映画史に残る傑作とされています。

　キリング・フィールド　 【1984年】

この戦争映画については、なじみのない人が大多数ではないでしょうか。
しかし、カンボジア内戦を舞台にした見どころたっぷり、得るところも非常に多い作品です。

1970年にベトナム戦争に巻き込まれる形で始まったカンボジア内戦の真実や、北ベトナム軍の侵攻による混乱の様子を緊張感をもって伝えています。

伝えられていないカンボジア内戦やベトナム戦争の有り様がよく理解でき、隠れた名作と言えます。

　プラトーン　　【1986年】

オリバー・ストーンが監督・脚本を務め、トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォー、チャーリー・シーンらが出演し、ベトナム戦争を舞台に、アメリカ陸軍の一個小隊（プラトーン）の兵士たちの体験を描いています。

新兵のクリス・テイラーはベトナムでの過酷な戦場生活に直面します。上官たちの対立、戦友との絆、そしてベトコンとの過酷な戦いを通して、戦争の残酷さや人間の心の葛藤を描いています。

若かりし頃のジョニー・デップが、脇役として出演しています。目を凝らして見つけてください。

タイトルの「Platoon」は軍隊の組織編成単位である、40名程度の小隊のことをいいます。　10名程度の分隊は「Squad」です。

　フルメタル・ジャケット　【1987年】

上述の「プラトーン」と同じ、ベトナム戦争を背景とした作品です。

ベトナム戦争に従軍するべく、兵士に志願したアメリカの若者たちを描いた作品です。兵士たちは、過酷な訓練を受けることになりますが、戦地で彼らはさらに過酷な現実に直面します。

戦争の残酷さを生々しく描いており、人によっては苦痛に感じるかもしれません。しかし、本作は、戦争の悲惨さを訴える作品であり、戦争の無意味さを認識させてくれます。

その過激な描写はかなりのものですが、戦争の残酷さを描いた作品として高い評価を得ています。

作品の前半は海兵隊新兵の訓練シーン、後半は戦闘シーンとはっきり分かれています。

タイトルの「フルメタル・ジャケット」は、鉛の弾体を銅などの金属で覆った「完全被甲弾」を指します。

　プライベート・ライアン　【1998年】

第二次世界大戦下の激戦地となった、ノルマンディー上陸作戦から物語はスタートします。

冒頭ノルマンディー上陸作戦の攻防に関わる描写は圧巻で、この先の展開はどうなるのかという期待感を抱かせます。

上陸作戦における激戦を生き延びた主人公ミラー大尉に下った命令は、ライアン二等兵を救出して連れ戻せとのことであった。それにはある理由があったのだ。

ライアン二等兵役は若いころのマット・ディモンが演じていますが、とても新鮮で若者らしさに満ち溢れています。

原題の「Saving Private Ryan」は「ライアン二等兵を救出せよ。ライアン二等兵の救出」といった意味です。

Privateは「私的な、民間の」という意味もありますが、本作品では兵隊、兵卒、二等兵という意味でとらえればよいかと思います。

　ブラックホーク・ダウン　【2001年】

1993年、東アフリカのソマリア内戦時の実際の戦いを描いた作品です。

本作品では、撃墜されたアメリカ軍のヘリコプターの乗組員や、救出に向かった別の部隊の兵士たちの過酷な戦闘と生存闘争を描いています。

兵士たちは、敵勢力との銃撃戦や都市の狭い路地での戦闘に直面し、仲間の救出を試みます。リアルな戦闘シーンや緊張感あふれる展開で、現実の戦場の過酷さと兵士たちの団結と英雄的な行動を表現しています。

タイトルの「ブラックホーク・ダウン」は、米軍のブラックホークヘリコプターが墜落する様を指しています。

　ゼロ・ダーク・サーティー　【2012年】　　

この作品は、アメリカ同時多発テロ事件の首謀者であるウサーマ・ビン・ラディンの捜索と発見に至る過程を描いています。

アメリカ中央情報局（CIA）のアナリストであるマヤ（ジェシカ・チャステイン）が、ビン・ラディンの行方を追い求める姿を中心に物語は展開しています。

戦いの描写は非常にリアル感が溢れており、フィクションの要素も多いのですが、現実の事件を基にしてドキュメンタリー風にも描いています。

原題の「Zero Dark Thirty」は殺害作戦を実行した時間帯の「未明」を表しているのではないでしょうか。

　ヒトラーの忘れもの　【2015年】

デンマークとドイツが合作した戦争ドラマ映画です。第二次世界大戦終結間もなくが背景になっていますが、戦争の爪痕ということで、ジャンルを戦争映画でご紹介しています。

本作品は、第二次世界大戦後のデンマークで起こった史実に基づいて制作されています。

戦争中にドイツ兵がデンマークの海岸に大量に埋めた地雷除去のため、捕虜となっているドイツの少年兵達が危険な作業に立ち向かう様を描いています。

　ダンケルク　【2017年】　　

第二次世界大戦中の1940年、フランス北部のダンケルクで行われたイギリス軍の撤退作戦、いわゆる「ダイナモ作戦」を描いています。

ドイツ軍による包囲下にあるダンケルクの海岸で、イギリス軍と同盟国の兵士たちは敵の攻撃から逃れるために海へと向かいます。

緊迫感あふれるシーンや優れた映像美、音響効果を駆使して、観客に臨場感を与えます。また、対戦車砲や戦闘機の攻撃などの迫力ある戦闘シーンも特徴的です。

実際の歴史的事件を基にしており、戦争の困難さや人間の抵抗力を描き出すと同時に、勇敢な行為や団結の重要性を示す作品として高く評価されています。

2017年の映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でもこの作戦の様子が描かれています。　

　1917 命をかけた伝令　【2019年】

本作品の時代背景は、第一次世界大戦下の西部戦線ですが、前述の「西部戦線異状なし」と同様に塹壕戦の様子も詳細に描かれています。

リアルな戦場の描写や緊張感あるシーン、迫力のある映像美が特徴であり、観客に臨場感を与えます。

戦争の非人間性や壮絶さを浮き彫りにしながら、兵士たちの勇気や団結の力を称えるメッセージを伝えています。

ストーリーとしては、1600名の味方兵力を救うために身の危険を顧みず、伝令としての任務を全うする兵士を描いています。

題名の「1917」は本作品の時代背景1917年を表しています。

　ミッドウェイ　　【2019年】

太平洋戦争の勝敗を決めたと言われる日本海軍と米海軍の戦い、「ミッドウェー海戦」に焦点を当てた映画です。

本作品は、迫力ある戦闘シーンや特殊効果を駆使して、海上での航空戦や海戦を描写しています。

また、戦争の中での指導者たちの判断や戦略、個々の兵士たちの勇気や犠牲を描き、戦争の本質や人間の尊厳を探求しています。

豊川悦司、浅野忠信、國村隼など日本の映画俳優も多数出演しています。

なお、映画「ミッドウェイ」には、本作以外に1976年の同名映画もあります。

　アウトポスト　　【2020年】

アフガニスタン紛争で最も激しいと言われる戦闘を描いた、史実に基づく戦争映画です。

本作品は、2009年10月3日に起こった米軍とイスラム組織タリバンとの激戦「カムデシュの戦い」を驚くほどのリアル感で描写しています。

そもそも、この場所に米軍の前哨基地を設営した理由が理解できません。周囲はすべて山岳地帯に囲まれており、基地はその谷底にあるのです。

不意を突かれたら逃げようもなく、ひたすら防御のみに徹する戦いに陥ってしまいます。

しかし、米兵たちは、圧倒的な数のタリバン戦闘員に立ち向かい、14時間にわたる激しい戦闘を繰り広げます。

主役はクリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドが演じています。

タイトルの「アウトポスト」は前哨基地、前哨部隊を指します。

　西部戦線異状なし　【2022年】

エーリヒ・マリア・レマルクの同名小説を原作とした戦争映画です。

第一次世界大戦の激しい戦場を背景に、若きドイツ兵パウル・ボイマーとその仲間たちの経験を追います。

初めは戦争に対して理想化した考えを持っていた彼らですが、実際の戦場の厳しさと恐怖、そして仲間たちの死に直面し、次第に絶望と疎外感に苛まれていきます。

この映画は、戦争の悲惨さと若者たちの失われた無垢を描き出し、深い感動を呼び起こす作品となっています。

第95回アカデミー賞では国際長編映画賞、撮影賞、美術賞、作曲賞の4部門を受賞しました。

ただ、動画配信サービス「Netflix」の独占配信になるので、「Netflix」以外では鑑賞することはできません。

以上で「『戦争 映画』 1930年から2020年代の極上な洋画作品」に関するご紹介を終わります。